カスドースと湖月堂老舗
昭和初期、カスドースを復活させた、湖月堂老舗先々代・佐野屋増時。
門外不出のカスドース
松浦藩門外不出のお留菓子カスドースを、藩に伝わる「百菓之図」を基に、昭和初期に復活させたのが、湖月堂老舗の先々代、佐野屋増時です。素材にこだわり、製法を追求し、いにしえに想いを馳せて完成させたカスドースは、数々の賞を受賞し、昭和29年には商標登録が認可されました。
佐野屋増時はカスドース再興にあたり、松浦公より百菓之図の写本を許された。
数々の受賞、献上の栄誉
第一回全国菓子工芸展にて、厚生大臣賞を受賞。
佐野屋増時はその先見性により、大戦後の混沌が残る昭和28年に、いち早く「第一回全国菓子工芸展」に「カスドース」の出品を果たし、厚生大臣賞を受賞いたしました。またその他、数々の受賞、献上の栄誉を賜っています。
カスドース作りのこだわり
代々伝えられたレシピと味を守り続けます。
厳選した小麦粉や新鮮な九州産卵を使い、すべて手作業にて製造しております。卵は「黄金の国・ジパングのお菓子」のイメージを大切に、薄黄色の卵黄にこだわっています。小麦粉は国産の2種を配合し、グラニュー糖も糖蜜用と仕上用の2種を使い分けています。
カスドースは卵黄に潜らせ、煮立てた糖蜜で揚げ、グラニュー糖をまぶしますので、一般的なカステラ生地を使うと、甘さが強めになってしまいます。湖月堂老舗では生地の糖分は抑え、程良く糖蜜が浸透するよう、少し粗めに焼き上げます。味わいは懐かしく、清らかな甘さ。無添加なので安心です。
カスドースの起源
ポルトガル菓子 ソッパ・ドウラーダ
カスドースの原型は1550年頃、宣教師らによりポルトガルから平戸に伝わりました。起源は黄金のスープという意味の、ソッパ・ドウラーダ。カステラの原型、パン・デ・ローの薄切りにシロップを絡め、ポルトガルのお菓子に欠かせない卵黄クリーム、ドース・デ・オヴォシュをかけたお菓子です。ソッパ・ドウラーダは汁気がありますが、茶菓子向けに固形化したものがカスドース。カステラに甘いという意味のドースを組み合わせて名付けられたようです。
長崎の丸山遊郭、引田屋花月楼が昭和4年に料理専門店に転向した折、南蛮料理の看板メニューのデザートには、カスドース(汁菓子)と記されています。これはソッパ・ドウラーダそのものであったと思われます。
ポルトガル伝統菓子「ソッパ・ドウラーダ」(湖月堂老舗・製作)
登録商標カスドース
カスドースは湖月堂老舗の登録商標です。
昭和29年に「カスドース」の商標登録が認可されました。湖月堂老舗では今日まで、その独自技法が連綿と伝えられております。伝統の製法を守るとともに、さらなる美味しさを目ざして、研鑽を続けております。類似品にはご注意くださいませ。